始まりのサドマイマイカブリ(2015年12月28~29日)②
①の続き。
次の日も天気は曇りであまり良くは無かった。
吹雪にはならないことを祈るばかりだ。
コンビニで買ったパンとかで朝食を済ませ、朝から島内を走っていると、
川の近くでS氏が不意に呟いた。
「あれトキじゃね?」
言われて空を見上げる。すると、確かに1羽の鳥が遠くに小さく見え、
それはよく見ると桃色をしている。
桃色、ではなく、あれは朱鷺色だ。
野生のトキなんて初めて見た。
なんだか縁起の良いものを見られた気がした。
今日の採集も上手くいきそうだ!
車を走らせていると、いつの間にか山道に入っていた。
先輩方が周囲を観察し、目ぼしいところを見つけてか車を止めた。
降りてみると、目の前にはスギとアカマツの林が広がっていた。
先輩が林に入っていくのを見て、ボクもその後ろをついていった。
雪が舞い始めていた。小粒のあられだった。
斜面を降りていくと、スギの切り株が散見される谷間に降りた。
どうやらこの辺は材木の切り出す場所にもなっているのかもしれない。
ここで三手に分かれて採集をすることにした。
ボクは昨日、実は一頭も見つけられていない。
今日こそはたくさん見つけたかった。
すると、遠くで「採れたぞ~」と先輩の声が聞こえた。
この場所にもちゃんとマイマイがいてくれるようだ。
なら、大丈夫だ。ボクも見つけられる! そう期待して鍬を振り下ろす。
しかし、出てこない! なんでだ!
樹の皮はひっぺがしたし、水分のたっぷりな朽ち木も崩した。
しかしいない!
もしやさっきの先輩のマイマイ以外にいないのでは?
そんな風に考えていたその時、ようやく、
鍬で崩した木の中に、大きな黒い甲虫があった!
ようやく、自身でサドマイマイカブリを採集することができた。
感動である。
その感動を伝えたくて、ボクは先輩方に報告をしに向かった。
しかし、言ってみて驚いた……ボクが1頭採集する間に、
先輩らはすでに20頭以上も採集していた!
サドマイマイカブリは、いないわけではなかった。
ボクがただ、見つけられていなかっただけだったのだ。
悲しい……。
谷間の斜面を登り、アカマツ林に移動してさらに採集。
大きな倒木があり、T氏と一緒に崩してみると、
そこから何頭か出てきた。
S氏の方に行ってみると、S氏は見上げるばかりの巨大な立ち枯れを崩していて、
すでに七頭くらい採集したらしかった。
まだいるかもだから、反対側をお願いと言われ、崩してみる。
すると、何も出てこなかった……木くずが顔にかかって痛いだけだった!
T氏とも協力して掘ってみるも、奇形の1頭が出ただけで終了。
S氏のすごさを実感した……。
結果としてその林を出てみると、タッパーの中には
数十頭のサドマイマイが蠢いていた。恐ろしいくらいだった。
落ち着いたところで数えてみると、合計で52頭ものサドマイマイカブリを
採集することに成功した!
大成功、大勝利である!
ついでに固有亜種のサドアオオサムシ2頭とサドクロオサムシ1頭を採集しており、
おまけも得られて万々歳だった。
さて、どんな感じでこれらを分けますかと聞くと、
なんと山分けでよいという。
ボクは今回の採集でほとんど貢献できておらず、
今回の大漁はT氏とS氏の両名の力がすべてだった。
しかし、一緒に来たのだからと、ボクは14頭のサドマイマイカブリと、
3頭のオサムシの中からサドクロオサムシをいただかせてもらった。
申し訳なかったが、本当に嬉しかった。ありがとうございました!
怒涛の2日間だった。
今回の採集は、ボクにとっての初めての採集遠征だったが、
このような経験をできてとても良かった。ご一緒出来て良かったと思っている。
先輩方とは直江津でお別れ。
先輩2人はそのまま東京に行って明日は友人と呑み会だと言っていた。
ちなみに後から聞いた話では、
上越で別亜種のコアオマイマイカブリも採集しに行ったらしい。
……すさまじい体力だ。
(ちなみに一頭しか採れなかったらしい。良い場所が本当に見つからなかったそうだ)
というわけで、サドマイマイカブリの採集は大成功となったのだった。
ありがとう、佐渡島!
ありがとう、先輩方!
結果
サドマイマイカブリ×52
サドアオオサムシ×2
サドクロオサムシ×1