富山のオオムラサキの思い出
国蝶、オオムラサキ。
ボクはそのチョウを憧れてはいたものの、
今まで野生のものはお目にかかったことはない。
しかし採集する努力はしたことはある。
富山に住んでいた当時、オオムラサキがとてもほしかったボク。
そんなボクに、ボクにとって昆虫の師匠にあたる人から
『時期が来たらあそこに行くの、運が良ければ見られるよ』
と教えてもらった。
そこは、市街地から山へとひたすら走った先の谷間にある、
湧き水が湧きだしている場所。
少し行けばダム湖があり、とても自然豊かな場所だった。
ボクは何回かそこへと足を運んだのだが……
結局見ることもできなかった。
オオムラサキは、いるところに行けばいる生き物だと思う。
まあそれはどんな生き物にも言えるのだけど。
行った日はたいてい、ひたすら暑かった気がする。
喉が渇いて、湧き水を飲んだこともある。
もしかしたら、そんなボクの姿を、オオムラサキは
どこかで観察してきていたかもしれない。
今でも、あの場所にオオムラサキは来ているのだろうか?